第1号発行 クーラ編集部

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クーラ運転手新聞

トラック・タクシー・バス・倉庫の仕事を、数字と制度で読む

賃金

ドライバーの求人倍率2.58倍賃金は全職種平均を下回る

職種別・都道府県別に読む。奈良4.53倍から高知1.66倍まで、47都道府県の一覧つき

ハローワークの「自動車運転従事者」の有効求人倍率は、2025年度に2.58倍だった。職業計(1.10倍)の2倍を超える。一方、賃金構造基本統計調査から本紙が計算した年収換算は、営業用大型トラックで約507万円、タクシーとバスで約450万円と、全職種計(約546万円)を下回る。人が足りない職種の賃金が、平均より低い。その中身を職種別・都道府県別に見る。

一運転は2.58倍、倉庫などの運搬は1.08倍

有効求人倍率は、ハローワークに出ている求人の数を、仕事を探している人の数で割ったものだ。1倍を超えれば人手が足りない。厚生労働省の職業別の統計で、トラック・バス・タクシーなどをまとめた「自動車運転従事者」は、2023年度2.62倍、2024年度2.61倍、2025年度2.58倍と高い水準が続く。2026年7月も2.53倍だった。

パートを除くと2025年度は2.79倍になる。フルタイムの運転手を求める会社ほど、人を見つけにくい。一方、倉庫作業や配達を含む「運搬従事者」は1.08倍で、職業計(1.10倍)とほぼ同じ。自動車整備を含む「機械整備・修理従事者」は4.04倍と、運転よりもさらに高い。

ハローワークの統計では、トラック・バス・タクシーを分けた倍率は出ていない。国土交通省は業種別に、タクシー運送業3.50倍(2024年)、バス運送業2.12倍(2024年)、道路貨物運送業2.18倍(2023年度)と整理しているが、集計の定義が違うので上の数字とは直接比べられない。

図1職業別の有効求人倍率(2025年度、パートを含む常用)
  • 機械整備・修理4.04倍
  • 自動車運転(パート除く)2.79倍
  • 自動車運転2.58倍
  • 運搬(倉庫・配達など)1.08倍
  • 職業計1.10倍

職業計 1.10倍

出典: 厚生労働省「雇用関係指標(年度)2025年度」(2026年5月29日公開)、同「一般職業紹介状況」長期時系列表 第21表(2026年8月28日公開)。ハローワークで受け付けた求人・求職だけの数字。

二奈良4.53倍から高知1.66倍まで

都道府県で見ると差は大きい。2025年度の自動車運転従事者の倍率は、奈良4.53倍、東京3.81倍、愛知3.57倍、京都3.39倍、富山3.31倍が高い。低いのは高知1.66倍、徳島1.77倍、岩手1.78倍、福島1.87倍、兵庫1.91倍だった。

ただし、これは求人を受け付けたハローワークの所在地で数えた値だ。本社でまとめて求人を出す会社が多い東京は、高く出やすい。住んでいる県の数字が低くても、隣の県や通える範囲の求人を合わせて見る必要がある。

図2都道府県別 自動車運転従事者の有効求人倍率(2025年度、高い順)

全国(2.58倍)以上全国未満職業計 1.10倍

  1. 1奈良4.53
  2. 2東京3.81
  3. 3愛知3.57
  4. 4京都3.39
  5. 5富山3.31
  6. 6広島3.27
  7. 7福井3.24
  8. 8新潟3.18
  9. 9岐阜3.14
  10. 10鳥取3.03
  11. 11岡山2.97
  12. 12石川2.92
  13. 13香川2.79
  14. 14島根2.74
  15. 15愛媛2.74
  16. 16山口2.71
  17. 17長野2.69
  18. 18大阪2.66
  19. 19神奈川2.58
  20. 20大分2.54
  21. 21宮崎2.52
  22. 22和歌山2.51
  23. 23群馬2.45
  24. 24滋賀2.44
  25. 25山梨2.42
  26. 26三重2.38
  27. 27沖縄2.35
  28. 28静岡2.28
  29. 29山形2.25
  30. 30千葉2.25
  31. 31佐賀2.24
  32. 32北海道2.18
  33. 33宮城2.14
  34. 34埼玉2.13
  35. 35福岡2.13
  36. 36鹿児島2.08
  37. 37栃木2.07
  38. 38青森2.06
  39. 39長崎2.00
  40. 40熊本1.98
  41. 41秋田1.93
  42. 42茨城1.93
  43. 43兵庫1.91
  44. 44福島1.87
  45. 45岩手1.78
  46. 46徳島1.77
  47. 47高知1.66

出典: 厚生労働省「雇用関係指標(年度)2025年度」第10表から本紙が計算(受理地、パートを含む常用)。

三年収換算:全職種計を下回る

賃金はどうか。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)から、毎月の給与の12か月分に年間賞与を足して「年収換算」を計算した。企業規模10人以上で働くフルタイムの人の平均で、公式の年収ではない。

営業用大型トラックの運転者は約507万円、大型以外のトラックは約449万円、タクシーは約451万円、バスは約453万円。いずれも全職種計の約546万円を下回る。倉庫作業員などの「その他の運搬従事者」は約407万円。一方、自動車整備・修理従事者は約504万円で、平均年齢は40.6歳と運転手より10歳以上若い。

前年(2024年)と比べると、大型トラックは約492万円から、タクシーは約415万円から上がった。バスは約461万円から下がっているが、標本の入れ替わりの影響もありうるので、1年の上下で傾向は判断できない。

図3職種別の年収換算(2025年、万円)
  • 全職種計約546万円
  • トラック(営業用大型)約507万円
  • 自動車整備・修理約504万円
  • フォークリフト等※約470万円
  • バス約453万円
  • タクシー約451万円
  • トラック(大型以外)約449万円
  • 倉庫作業等(運搬)約407万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(2026年3月公表)。年収換算=きまって支給する現金給与額×12+年間賞与で本紙が計算。企業規模10人以上。※「他に分類されない輸送従事者」。フォークリフト運転者のほか船員なども含む。

四残業代の比重が大きく、賞与は少ない

中身を見ると、運転の仕事の賃金には特徴がある。営業用大型トラックの「きまって支給する給与」は月38.7万円だが、残業代などを除いた所定内給与は30.6万円。差の約8万円が残業代などだ。バスも月32.8万円のうち6.5万円が所定内給与の外にある。月の超過労働時間は大型トラック33時間、バス30時間、タクシー23時間だった。

賞与は、全職種計の年101.0万円に対し、大型トラック43.0万円、バス59.0万円、タクシーは19.8万円にとどまる。タクシーは歩合給が月給に入る会社が多いとみられるが、賃金体系の割合を示す統計はない。

2024年4月から運転の仕事に時間外労働の上限(年960時間)が適用された。残業で稼ぐ構造だったため、上限で手取りが減るという懸念が言われてきた。一方、国土交通省の整理では、2021年から2024年の年間賃金の伸びは全産業7.8%に対し、タクシー49.3%、バス14.6%、大型トラック6.3%、中小型トラック1.4%。タクシーの伸びが大きく、トラックはまだ全産業に届いていない。

表1運転・物流の職種の賃金の中身(2025年、一般労働者)
職種平均年齢超過労働(月)きまって支給(月)うち所定内年間賞与年収換算
トラック(営業用大型)51.5歳33時間38.7万円30.6万円43.0万円約507万円
トラック(大型以外)50.3歳26時間34.2万円28.7万円38.5万円約449万円
タクシー56.8歳23時間35.9万円30.6万円19.8万円約451万円
バス56.0歳30時間32.8万円26.3万円59.0万円約453万円
倉庫作業等(その他の運搬)46.3歳16時間29.7万円26.3万円50.7万円約407万円
自動車整備・修理40.6歳15時間34.0万円30.6万円96.4万円約504万円
(参考)全職種計——37.1万円34.1万円101.0万円約546万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(2026年3月公表)。企業規模10人以上。年収換算は本紙の推計。

五年齢と地域で見る

大型トラックの年収換算は20〜24歳で約446万円と立ち上がりが高いが、30代後半から50代前半まで約520〜530万円でほぼ横ばいになる。タクシーは20〜24歳、25〜29歳とも約483万円で、年齢による差が小さい。自動車整備は20〜24歳の約361万円から50〜54歳の約598万円まで、経験とともに上がるカーブを描く。

地域差も大きい。営業用大型トラックは兵庫約627万円、千葉約591万円が高く、沖縄約323万円、山形約395万円が低い。タクシーは東京約570万円、大阪約479万円に対し、地方では300万円を下回る県もある。バスは神奈川約559万円、青森約323万円。県別の数字は標本が少ない県でぶれやすく、1年の順位を固定したものと考えないほうがよい。

図4年齢別の年収換算:営業用大型トラック(2025年、万円)
  • 20〜24歳446万円
  • 25〜29歳472万円
  • 30〜34歳512万円
  • 35〜39歳524万円
  • 40〜44歳527万円
  • 45〜49歳530万円
  • 50〜54歳532万円
  • 55〜59歳518万円
  • 60〜64歳471万円
  • 65〜69歳406万円
  • 70歳〜361万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第5表(2026年3月公表)から本紙が計算。

六数字を読むときの注意

賃金構造基本統計調査は、企業規模10人以上の会社に雇われている人の統計だ。軽貨物の業務委託などの個人事業主や、個人タクシーは入っていない。有効求人倍率も、ハローワークを通した求人と求職者だけの数字で、求人サイトや紹介会社の求人は含まない。

ハローワークの求人票に書かれた賃金(自動車運転従事者のフルタイムで月26.0万円、2025年度)は、基本給と毎月決まった手当の平均で、実際に払われた額ではない。気になる会社があれば、残業代や歩合を含めた実際の月給の例を、見学のときに聞いておきたい。

出典

  1. 雇用関係指標(年度)2025年度 第4表・第5表・第10表(厚生労働省、2026年5月29日公開)。都道府県別の値は受理地・パートを含む常用で、本紙が計算
  2. 一般職業紹介状況 長期時系列表 第21表(職業別有効求人倍率)(厚生労働省、2026年8月28日公開(2026年7月分まで))
  3. 令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・短時間労働者 職種別 第1表・第5表、都道府県別 第3表)(厚生労働省、2026年3月公表)。年収換算(きまって支給する給与×12+年間賞与)は本紙の推計で、厚労省の公表値ではない
  4. 自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(閣議決定(国土交通省掲載)、2026年1月23日)
  5. 日本のトラック輸送産業 現状と課題 2025(全日本トラック協会、2025年)

取得日はいずれも2026年9月25日。年収換算は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で本紙が計算した推計値です。制度の内容は変わることがあります。手続きの前に、各機関の最新の案内を確認してください。

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