特集採用担当の方へ
運転手の採用、面接の前に「現場」を見せる
運送・タクシー・バス・倉庫の会社の採用担当の方に向けて、ドライバー採用の数字、見学・お試し勤務を受け入れるときの法令上の注意、2026年からの制度変更をまとめました。
一若手が2〜6%の職種で人を採る
ハローワークの「自動車運転従事者」の有効求人倍率は、2025年度に2.58倍(パートを除くと2.79倍)。職業計の1.10倍を大きく上回る。賃金構造基本統計調査(2025年)で見ると、30歳未満の割合はバス2.0%、営業用大型トラック3.8%、タクシー4.0%、大型以外のトラック5.6%にとどまり、タクシーは43.0%、バスは36.4%が60歳以上だ。
どこから人が入ってくるか。厚生労働省の雇用動向調査(2025年)では、「運輸業,郵便業」の入職者の入職経路は、縁故が32.2%で最も多く、広告27.7%、ハローワーク16.0%と続き、民営職業紹介所は3.0%だった。産業計(縁故21.4%、民営職業紹介所7.7%)と比べ、知人の紹介に頼る割合が高い。
- 縁故32.2%
- 広告27.7%
- ハローワーク16.0%
- その他12.1%
- 学校7.0%
- 民営職業紹介所3.0%
出典: 厚生労働省「令和7年雇用動向調査」第16表(2026年8月公表)。産業計は縁故21.4%、民営職業紹介所7.7%。
二お試し勤務を受け入れるときの注意
見学は職場を見てもらうだけだが、お試し勤務で会社の指揮命令のもとで作業をしてもらえば、その人はその日「労働者」に当たりうる。その場合は最低賃金以上の賃金や労災保険の適用が必要になる(労働者性の判断は1985年の労働基準法研究会報告の基準で実態から判断される)。クーラのお試し勤務は報酬ありの仕組みだ。
運転の仕事には、さらに業界の決まりがある。二種免許と運転者登録のない人に、タクシーやバスの営業運転はさせられない。トラックは、新しく雇った運転者に乗務前の特別な指導(座学15時間以上+実技20時間以上)と適性診断を行う決まりがあり、お試しの日に事業用トラックを一人で運転させることは想定しにくい。フォークリフトは、技能講習・特別教育を修了していない人には運転させられない。
お試しの内容は、添乗(助手席への同乗)、営業所・車庫の見学、構内作業、荷役の見学などが中心になると考えられる。具体的な運用が認められるかは、所轄の労働局・運輸支局に確認してほしい。
また、2026年10月1日から、応募者や職場訪問者など「求職者等」へのセクシュアルハラスメント防止措置が事業主の義務になる(改正男女雇用機会均等法)。見学者の受け入れ担当と相談窓口を、事前に決めておきたい。
三求職者が現場で確かめたいこと
本紙の「職場見学で確認すること」では、求職者向けに、改善基準告示の拘束時間と休息期間が守れている運行か、点呼記録や運転日報・デジタコの管理、荷待ちや手積みの有無、賃金の内訳(基本給・歩合・残業代・固定残業代)、免許取得支援の条件(費用負担・在籍期間・返還の有無)を確認するよう勧めている。
求人票に書ききれないこうした点は、見学の場で具体的に説明できる。「働きやすい職場認証制度」やGマーク(安全性優良事業所)の取得状況も、求職者に伝えやすい材料だ。
四2026年からの制度の動き
- 2026年4月1日物流効率化法の特定事業者(トラック事業者は保有車両150両以上など)に中長期計画・定期報告。トラック適正化二法の第1段階
- 2026年10月1日予定求職者等へのセクハラ防止措置が義務に(改正男女雇用機会均等法)
- 2026年11月30日予定働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース・運送業等)令和8年度の交付申請期限。予算到達で早まることがある
- 2027年3月31日予定新潟市のバス運転士第二種免許取得支援事業費補助金の事業期間の終わり
- 2027年4月1日予定AT大型免許の導入(AT大型二種は2027年10月1日)
- 2028年6月まで予定トラック事業の許可更新制・適正原価を下回る運賃の制限(公布後3年以内)
出典: 国土交通省、厚生労働省、新潟市、警察庁(出典欄を参照)。「2028年6月まで」は公布日(2025年6月11日)から3年以内を本紙が日付に直したもの。
免許取得の支援では、自治体が事業者の費用を補助する例がある。新潟市はバス事業者が負担する大型二種の取得費用の2分の1(1人30万円まで)、神奈川県は県内の乗合バス事業者が負担する受験資格特例教習の費用の一部を補助している。
外国人材では、2024年3月に特定技能に「自動車運送業」分野が加わった。トラックは第一種運転免許と評価試験、日本語N4相当、タクシー・バスは第二種運転免許と評価試験、日本語N3以上が求められる。受入れ事業者には「働きやすい職場認証制度」の認証取得などが要件になる。2025年12月末の在留者は分野全体で151人(トラック123人、タクシー16人、バス12人)で、まだ少ない。
出典
- 雇用関係指標(年度)2025年度 第4表・第5表・第10表
- 令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・短時間労働者 職種別 第1表・第5表、都道府県別 第3表)
- 令和7年雇用動向調査 第16表(入職経路別入職者数の割合)
- 貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年国土交通省告示第1366号)
- 旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年国土交通省告示第1676号)
- 労働安全衛生法施行令 第20条第11号/労働安全衛生規則 第36条第5号・第151条の21
- 労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)
- 企業において募集・採用に携わるすべての方へ 男女均等な採用選考ルール
- 物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)
- トラック適正化二法について
- 令和8年度 働き方改革推進支援助成金 業種別課題対応コース(運送業等)リーフレット
- バス運転士第二種免許取得支援事業費補助金
- 生活交通対策運転手確保費補助金
- 自動車運送業分野(特定技能)
- 特定技能在留外国人数(令和7年12月末現在)第3表
- 自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
取得日はいずれも2026年9月25日。制度の内容は変わることがあります。手続きの前に各機関の最新の案内を確認してください。
クーラ
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