倉庫・フォークリフトの仕事技能講習は最短31時間、求人倍率は1.08倍
1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育。未経験から入りやすい職種の資格と賃金
ドライバーの求人倍率が2倍を超えるなか、倉庫作業を含む「運搬従事者」の有効求人倍率は2025年度に1.08倍で、職業計(1.10倍)並みだった。ピッキングや検品は資格なしで始められる一方、フォークリフトの運転には講習の修了が必要になる。資格の区分、賃金、職場で確かめたいことをまとめる。
一倉庫の仕事の中身
倉庫の仕事は、荷物を受け入れる入庫、棚に置く保管、注文に合わせて取り出すピッキング、検品、梱包、出庫と続く。ラベル貼りや詰め合わせなどの流通加工、倉庫管理システム(WMS)での在庫管理、作業員をまとめる現場リーダーの仕事もある。
職場は、多くの荷主の荷物を預かる営業倉庫、通販などの物流センター、メーカーや小売の自社倉庫、運送会社の倉庫、港湾や冷凍・冷蔵の倉庫とさまざまだ。ピッキング、検品、梱包、仕分け、手動のハンドリフトでの運搬は、資格なしでできる。
二フォークリフトは「1トン」で資格が分かれる
フォークリフトの運転に必要なのは、車の運転免許ではなく労働安全衛生法の資格だ。最大荷重(フォークに載せられる最大の重さ)が1トン以上なら「フォークリフト運転技能講習」の修了が必要になる(労働安全衛生法施行令第20条第11号)。1トン未満なら、事業者が行う「特別教育」を受ける(労働安全衛生規則第36条第5号)。1トン未満でも、何も受けずに運転することはできない。
倉庫の外の公道を走らせる場合は、これとは別に、車の大きさに応じた大型特殊・小型特殊などの運転免許が要る。
技能講習の時間は、持っている免許で変わる。資格がなければ学科11時間・実技24時間の計35時間。普通・準中型・中型・大型の自動車免許があれば、走行装置の学科が免除されて計31時間になる。大型特殊免許があれば、走行の実技も免除されて11時間だ。講習は都道府県労働局に登録した機関が行い、修了試験がある。
費用の例として、愛知労働基準協会の31時間コースは4日間で3万2,650円(受講料とテキスト代、税込)。講習機関や地域で違うので、目安の一つとして見てほしい。職務に関係する講習の費用は、会社が国の人材開発支援助成金を使って負担する場合もある。
| 持っている資格 | 学科 | 実技 | 合計 |
|---|---|---|---|
| なし | 11時間 | 24時間 | 35時間 |
| 普通・準中型・中型・大型の自動車免許(二種を含む) | 7時間 | 24時間 | 31時間 |
| 大型特殊自動車免許(カタピラ限定を除く) | 7時間 | 4時間 | 11時間 |
出典: フォークリフト運転技能講習規程(昭和47年労働省告示第111号、厚生労働省 法令等データベース)。運転経験がある人の免除などほかの区分もある。受講前に講習機関で確認を。
三求人倍率は職業計並み、地域差は大きい
倉庫作業や荷役、配達をまとめた「運搬従事者」の有効求人倍率は、2025年度に1.08倍だった。2.58倍の自動車運転従事者に比べて求人と求職者の数が近く、未経験からでも応募先を選びやすい職種といえる。
地域差は大きい。東京2.36倍、愛媛1.52倍、香川1.51倍が高く、岩手0.59倍、熊本0.66倍、福島0.68倍は1倍を下回る。
一方で、フォークリフトを扱える人は足りていない。日本倉庫協会が会員に聞いた調査(2024年12月、回答988事業者)では、フォークマンの人員不足率は8.8%。5年以内に辞めると見込まれる人を加えると17.7%になる。会員の回答で、倉庫業全体の値ではない。
全国(1.08倍)以上全国未満
- 1東京2.36
- 2愛媛1.52
- 3香川1.51
- 4滋賀1.45
- 5石川1.33
- 6京都1.32
- 7鹿児島1.32
- 8三重1.31
- 9福井1.30
- 10富山1.27
- 11広島1.22
- 12鳥取1.21
- 13大分1.21
- 14愛知1.19
- 15群馬1.18
- 16茨城1.16
- 17岐阜1.12
- 18大阪1.11
- 19奈良1.10
- 20島根1.10
- 21山口1.08
- 22沖縄1.08
- 23北海道1.06
- 24和歌山1.05
- 25山形1.04
- 26新潟1.04
- 27山梨1.01
- 28佐賀1.00
- 29高知0.97
- 30長野0.95
- 31青森0.94
- 32栃木0.92
- 33兵庫0.92
- 34埼玉0.88
- 35徳島0.88
- 36宮崎0.88
- 37神奈川0.84
- 38岡山0.84
- 39千葉0.83
- 40福岡0.81
- 41宮城0.77
- 42静岡0.76
- 43秋田0.75
- 44長崎0.74
- 45福島0.68
- 46熊本0.66
- 47岩手0.59
出典: 厚生労働省「雇用関係指標(年度)2025年度」第10表から本紙が計算(受理地、パートを含む常用)。運搬従事者には倉庫作業のほか配達・荷役などを含む。
四賃金:資格で上の区分へ
賃金構造基本統計調査(2025年)で、倉庫作業員・荷造工・配達員などの「その他の運搬従事者」の年収換算は約407万円(平均46.3歳)。フォークリフト運転者を含む「他に分類されない輸送従事者」は約470万円(平均47.1歳)だった。後者には船員なども入っているので、フォークリフト運転者だけの賃金ではない。
パートの時給は、その他の運搬従事者1,301円、他に分類されない輸送従事者1,448円。その他の運搬従事者はパートが多く、フルタイム約60.5万人に対しパートが約45.2万人いる(推計)。正社員への登用があるかは、職場ごとに確かめたい。
- フォークリフト運転者等※約470万円
- 倉庫作業員等(その他の運搬)約407万円
- (参考)トラック大型以外約449万円
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(2026年3月公表)。年収換算は本紙の推計。※「他に分類されない輸送従事者」。船員などを含む。
五制度の動き
2026年1月23日の閣議決定で、外国人の在留資格「特定技能」と、2027年4月に始まる「育成就労」に「物流倉庫」分野が加わった。国土交通省によると、特定技能1号の評価試験の開始時期は2026年9月時点で決まっていない。
改正物流効率化法では、2025年4月から倉庫業者にもトラックの荷待ち・荷役時間を短くする努力義務がかかり、2026年4月からは保管量70万トン以上の「特定倉庫業者」に中長期計画と定期報告が義務づけられた。トラックの予約受付の仕組みなど、倉庫の働き方にも関わる。
安全面では、フォークリフトは1年以内ごとに1回の特定自主検査が義務で、検査済みの標章を貼る(労働安全衛生規則第151条の21など)。陸上貨物運送事業の労働災害は、2025年に死亡80人、休業4日以上の死傷者1万5,632人だった(倉庫業だけの数は本紙では取り出していない)。
出典
- 労働安全衛生法施行令 第20条第11号/労働安全衛生規則 第36条第5号・第151条の21
- フォークリフト運転技能講習規程(昭和47年労働省告示第111号)
- フォークリフト運転技能講習(31Hコース)
- 令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・短時間労働者 職種別 第1表・第5表、都道府県別 第3表)
- 雇用関係指標(年度)2025年度 第4表・第5表・第10表
- 営業倉庫の現状と課題について
- 物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて
- 物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)
- 令和7年 労働災害発生状況について
取得日はいずれも2026年9月25日。年収換算は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で本紙が計算した推計値です。制度の内容は変わることがあります。手続きの前に、各機関の最新の案内を確認してください。
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